自由で新しくて楽しい。そんなお米のお店をたずねて。
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おにぎり、おにぎり。食べたくなりませんか?

実はこの写真のおにぎりは鵠沼海岸のコルコバードの事務所の目の前にあります「くげぬまライス」で売っているものなんです。
小ぶりなサイズがお洒落で可愛いですよね。何個でも食べたくなっちゃう。

今日はそんな「くげぬまライス」さんの特集です。
気になるあんなことやこんなこと、聞いてみたいと思います。

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こちら店主の宇井さん夫妻。笑顔が素敵なお二人です。

愛媛から東京に出てきたご主人の廉人様と横浜出身の奥様のまどか様は、ずっと二人でお店を出すのが夢だったそうです。
お二人はご主人がパンの修業をしていたことから、はじめは愛媛でパン屋を営んでいました。

鵠沼海岸でお店を開いたのは今年の五月。
オープンしたてのお店なんですね。

パン屋さんは順調でしたが、ご主人が小麦アレルギーになってしまったことや体力面を考えた結果、七年ほどでお店を手放したんだとか。
パン屋さんを手放したあと、二、三か月の間はロサンゼルス、コロンビア、ペルーで過ごました。
奥様のご友人の暮らすコロンビアで日本料理や雑貨店を出店することも考えましたが、日々の安全のことを考えて日本に戻ることを決めました。

お話によると、現地は日本人の会社員の方が防弾車で通勤、家にはガードマンをつけるような環境だったそうです……ひえー。

写真はお借りしたコロンビアのもの。綺麗です。

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そんなお二人はなぜ帰国後お米のお店を始めようと思ったのでしょうか。

子供のころからお米が大好きだったご主人。
おやつもご飯やおにぎりが好きでよく食べていたところから「くげぬまライス」を始めたそうです。

やっぱり米だよね、という台詞が印象的でした。日本の心ですね。

「くげぬまライス」さんは上が住居になっています。
お話を伺ったところ、五才の娘さんを置いて朝早くから仕事に出かけなくてもいいように住居付きのお店を求めていたとき、ちょうど鵠沼海岸に店舗を見つけたのだそうです。

真ん中に映っているのが娘さん。お店はやっぱり楽しいみたい。
小さいうちからお店でいろいろなお客さんとふれあい、両親の働く姿を見ることができるのはいいことですね。

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お店の雰囲気はとってもあたたか。地元の方もすぐ顔なじみになり、よくご来店されるみたいです。
笑顔の絶えないお店で、また来たくなっちゃうこと間違いなし。
ご主人曰く、パン屋さんを営んでいた愛媛の松山と、ここ鵠沼海岸はのんびりとした空気が少し似ているのですって。なんだかいいですね。

キャンプなどのアウトドアが好きなお二人。ご主人はサーフィンにも挑戦してみたいのだそうです。

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店の外にこんな張り紙が……お茶目です。

さてここからは気になるメニューについて。

「くげぬまライス」さんにはいろいろな創作おにぎりがあります。
お洒落な「スパムおむすび」にはなんとわさびの入ったスパイシー味バージョンが。今なら夏の野菜をつかった「オクラとおかかの醤油和えおにぎり」などもあります。
春の時期にはご主人故郷・愛媛のタケノコをつかった「鳥そぼろとタケノコの混ぜご飯おにぎり」も人気だったのだとか。
今後も旬のメニューが楽しみです。

他にも、他所ではなかなか食べられない珍しいメニューがショウウィンドウに並びます。「クルミクランベリーいなり」や「ココナッツおはぎ」なんて、聞いただけでは味の想像がつきませんよね(笑)
私は両方食べてみましたが、これがなかなかどうしておいしいんです!
ぜひ一度お試しあれ。

これらの創作おにぎりは料理本からインスピレーションを受けて作られることもあるほか、さきほど触れた「クルミクランベリーいなり」などはパンづくりの経験が活かされたものなのだそう。確かに、なかなか思いつきませんよね。

しかしお店の人に聞いたところ、お店の一番人気は定番中の定番、シャケ。
これだけの目を引く珍しいおにぎりの中にあっても、王様はシャケだったとは……おにぎり、やっぱり奥が深いですね(笑)

シャケ関連では通常のもののほかにパルミジャーノレッジャーノのシャケおにぎりも作っているそうですよ。おいしそう……!

ちなみに奥様に伺ったイチオシメニューはご主人考案のココナッツおはぎ。
たっぷりまぶったココナッツの甘い香りと素朴なおはぎが絶妙にマッチした逸品です。

ショウウィンドウに並ぶ自慢のおにぎりたち。
どれにしようか迷っちゃいます。

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「くげぬまライス」では、具だけではなくおにぎりに使うお米の産地もこだわって選んでいます。
これもおいしさの秘訣ですね。

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「くげぬまライス」さんはおにぎりのお店だと思いこんでいましたが、実はこのお店、名前に込められたある想いがありました。
実は「くげぬまライス」という店名は、いま店頭に並んでいるおにぎりやおはぎはもちろんのこと、お米をつかっておにぎり以外も自由に作っていきたい気持ちからつけたのだそう。

きっちり型にはまった業務をしていたパン屋の時にはなかった自由な発想を活かして、米粉をつかったおやつや丼もの、お団子なども作ってみたい、お米と日本のいいものを世界に発信したいと宇井さんは語って下さいました。

おにぎり専門店ではなく、お米料理の専門店なんですね。

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コロンビアでの体験のほかにも、お二人は実はとっても海外経験豊富。
奥様は幼いころにアメリカに住んでいた経験があり、大学の専攻は英語、その後は商社で働いて海外に慣れ親しんだといいます。一方ご主人もタイに旅行に行ったりバックパッカーみたいなことをしていたそう。
以前からベトナムやタイ、中南米、サイパンなどにもよくご旅行されていたお二人は異国の文化に興味があるんだとか。

奥様に聞いた日本のよさは、日本食の繊細さ、接客のこまやかさ、日本人ならではの心配りなど。
これは海外に行って初めて気づいたものなのだそう。日本の良さをもっと海外の人に知ってほしいとのことでした。

そんなお二人の夢は、時期が来たら違う国にも行ってお店を構えること。
そして旅行が好きなお二人、もう少し余裕ができたら娘さんを連れて海外旅行に行きたいという夢もあるそうです。
違う世界を見るのが楽しいという言葉はご主人から。

鵠沼海岸にはテレビでも取り上げられるお店もあり、東京や埼玉からのアクセスもある土地だからこそのチャンスもたくさんあって、ポテンシャルは上向きなんだそうです。

そんな宇井さんご夫妻に今後の意気込みを聞いてみたところ、何を出すにしてもいいものを出してたくさんの人に見てもらいたいと語って下さいました。

「楽しいことをお店がしていたら、お客さんは絶対集まってくれる。お花屋さんでもパン屋さんでもおにぎり屋さんでも何をやっていても。そういう人が集まってきてくれて、おいしいだけじゃなくて楽しかったから、なんかちょっとまたあそこに行きたいなって思ってもらえるような商品や雰囲気を頑張ってやっていきたいなって思います」というのはご主人の言葉。

奥様は「お団子だったり、白玉粉とかも考えていて、ご飯でほかのことをやるっていうのも、あそこ今度なに出すのかなみたいになっていくといいですね。これはやるかどうかわからないけれど、お餅つきもやれたらいいなっていう話もしています」という話もしていて……。

楽しいお店にしたいというお二人の思いの詰まったお店なんですね。

お店の内装もご自身で壁を塗ったり、娘さん手書きのウェルカムボードがあったり温かみがあって素敵な趣の「くげぬまライス」さん。
今後も窓のサッシをデコレーションする計画があったり、どんどん素敵にカスタマイズされるようです。

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そんな「くげぬまライス」さんの見どころは、まだまだ成長していくお店であるというところ。一度見てそれっきりではなく、何度も足を運んで「あ、内装が変わった」「こんなメニューもやるんだ」という発見をして、変化を見守り続けたいお店です。

鵠沼海岸へお越しの際は、ぜひ「くげぬまライス」で懐かしくて新しいおにぎり体験をしてみてください。
(午前七時から営業・月曜定休)

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☆Writer Profile☆
平山 歩実
平山歩実 学生。多摩大学グローバルスタディーズ学部グローバルスタディーズ学科二年在学。
コルコバードのインターンシップ生。インターンシップの経験はこれが初めて。
短編小説、散文詩、短歌、俳句などの執筆活動が趣味のひとつ。
休日は深夜アニメや心霊番組の録画を見たり、昼寝をして過ごすのが好き。
好きな場所は図書館の閲覧室、水族館、夜のベランダ。数年前からKawaiiカルチャーに興味がある。

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