水のように透明な
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アムステルダムってダムなんだよ。
って聞かされたのはいつの事だったか?
それ以来、アムステルダムのことが気になってしょうがない。

そもそも、ダムが好きだった。
ダムにはTEPCO電気館とか、一見無駄な素晴らしい施設があったりする。

ところでこのダムの色は何だろう。
群馬県の四万ダムの水の色。



眠るような陽を浴びて、君はブロンズ色
南向きのベランダで海を眺めている
やわらかな前髪のカール
憂いがちな眼を隠す

風はペパーミント
ブルーのソーダが指先に揺れている
斜め修琉愡劼鯀ぶのは
この角度からの君がとても綺麗だから

黙りこんだ貝殻が深みできらめくよ
そう大事なこと僕はまだ、話し忘れてたよ
沖をゆく客船の汽笛、旅に誘っても
ここを動かない

風はペパーミント
想い出の日々がグラスからはじけてる
舊い歌の低いハミングに
口笛でハーモニー、重なる音が溶けて消える

波は時を砂に変え、寄せるやさしく
そんな風に、僕たちも愛せたらいいのに
水のように透明な心ならいいのに

抱きしめた両手から逃げる
灼きすぎて痛いわって

風はペパーミント
ブルーのソーダが指先に揺れている
空も海も遠のいてゆくよ
君のはにかんだ、笑顔だけを殘して


十代の終わりにフィリピンの南を一人で旅した事があって、
ヨーロッパ人が何ヶ月も過ごす電気のない島にたどり着いた。
ジャングルを散歩すれば、迷彩服の共産ゲリラが銃を持って歩いている。
お前はジャパニ(日本人)か?と聞かれ、木に登ってココナッツを割って飲ませてくれた。
突然のスコール。
そしてそのまま3日間土砂降りが続き、
僕は一人コテージでどこにも行けず「ペパーミント・ブルー」を聞いていた。
目の前にある、現実のペパーミント・ブルーの海よりもずっと、
その言葉の持つ繊細な美しさに酔いしれた。


"波は時を砂に変え、寄せるやさしく
そんな風に、僕たちも愛せたらいいのに
水のように透明な心ならいいのに"


それは、あのときココナッツを割って僕に飲ませてくれた
少年の微笑みのように。