SAY YES
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暗闇が結構好きである。
とか言っても、一人で暗闇に佇んでいたら、それは変人である。
職務質問されてもおかしく無い。
チワワのチーちゃんの散歩で夜、河原の真っ暗な道を歩く事がある。
(正確には歩くチーちゃんに連れて行かれる)

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本当に真っ暗である。
犬が一緒だけどちょっと恐い。
ここには川の水が流れている。
河口に近いので、水の流れはほとんどなく、停滞しているようにも見える。
(実際には暗くて見えない)
岡崎京子の「リバーズエッジ」であり、吉田秋生の「川よりも長くゆるやかに」である。
河口に近くなるにつれ、水は澱み、汚れて行く。

本当に真っ暗闇で、怖いので音楽を聴きながら歩く事が多い。
だけど、それが妙にしっくり来る時もある。
何故か?



SAY YES

作詞・作曲:飛鳥涼

余計な物など無いよね
すべてが君と僕との 愛の構えさ
少しくらいの嘘やワガママも
まるで僕をためすような 恋人のフレイズになる

このままふたりで夢をそろえて
何げなく暮らさないか

愛には愛で感じ合おうよ
硝子ケースに並ばないように
何度も言うよ 残さず言うよ
君があふれてる

言葉は心を越えない
とても伝えたがるけど 心に勝てない
君に逢いたくて 逢えなくて 寂しい夜
星の屋根に守られて 恋人の切なさ知った

このままふたりで朝を迎えて
いつまでも暮らさないか

愛には愛で感じ合おうよ
恋の手触り消えないように
何度も言うよ 君は確かに
僕を愛してる

迷わずに SAY YES 迷わずに

愛には愛で感じ合おうよ
恋の手触り消えないように
何度も言うよ 君は確かに
僕を愛してる



今さらながら、
昔は一切聞かなかったこの曲を最近口ずさんでしまう。
とても純粋で美しい曲だと思う。

しかし、愛は闇と表裏一体なのか?
素晴らしい愛の形を歌にした、その時代のアーティスト達が
次々と闇に飲み込まれて行った。

それはカルアミルクよりも甘い甘い誘惑だったのか?
SELF CONTROLできなかったのか?
(いいや、それはSELF CONTROLするために必要だったのか?)
どんなときも、どんなときも。
僕が僕であるために、戦い続けなければいけなかったのか?

闇は正直者。光と違って影が無いから、
だけど、闇の中には何かがずっと息をひそめている。
その居心地の良さに油断していると
黒い水の中から音も立てずに手を伸ばし、足首をつかんで暗い水の中へ引きずり込んで行く。

私は暗闇でチーちゃんを散歩させながら、そんな事を考えると怖くて怖くて仕方がない。
吸い込まれそうな感覚と、流れの無い無音の黒い川面を見て、
たまらずに駆け足で帰りたくなる。

だけどチーちゃんがいるので、チーちゃんの歩幅でゆっくり、ゆっくりと歩く。
時たま、誰もいない暗闇に吠えるチーちゃんにビビりながら、
ヘッドフォンで「SAY YES」(さよならポニーテールVer.)を爆音で聞きながら
大声で一緒に歌いながら、ゆっくりと、ゆっくりと歩く。
明かりの灯る橋の袂まで・・・。

「愛には愛で感じ合おうよ」
ああいい歌だ。
やっぱり最後は「愛が勝つ」のだろうか?

なんて思いながら、そのうち家に着く。
暗闇とはさようなら。

「迷わずに SAY YES 迷わずに」