ノルウェーの森
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僕は42歳で福岡発羽田行きのANAの機内放送でサンドイッチマンのライブを聴きながら
ひとり笑いを押さえることができずにいた。
日本人のスチュワーデスは「大丈夫ですか?」とアイコンタクトで訴えかけ、
「大丈夫です、ありがとう。すこし笑いがつぼに入っただけだから」と言って僕は微笑んだ。
「そういう時、私も時々ありますよ。よくわかります」
などとは決して言ってもらえずに、私は一人シートで笑いの涙をこらえて悶えていた。

そうなんです、現実はそうロマンチックじゃないよ・・・
と言いつつも、先日映画館で見た、
映画「ノルウェーの森」の予告編で不覚にも泣いてしまった。

1987年の秋に発行された「ノルウェイの森」
23年前。私が19歳の時の村上春樹の作品。
登場人物の「僕」も19歳。
のめり込みやすい私は、上巻を読んだ次の日
まさしく「森」に行って下巻を読み切った。

休みを取ってその「森」で一日過ごした。
確か今ぐらいの季節だったのでは無いだろうか?

だけど「森」と言っても近場の森。
森というより森林公園。横浜根岸の森林公園に行った。
ここは競馬発祥の地で、本当に馬がいる。
隣の米軍の施設内には巨大な観覧席の廃墟がある。

そんな風景が好きで。それでいて「森」なので、
ここにはよく行った。それで「ノルウェーの森」を読んだ。

好きな原作は往々にして映画化してほしくないものだが、
この映画だけは違った。

そこは当時私が思い描いていた「森」があり、思い描いていた「直子」がいた。
菊地凜子にドキリ)
あの日感じた初冬の冷たい空気がそこにあった。

忘れかけていて、気がついたら
「僕」の37歳をとっくに追い越していた。
20年ぶりに読むとどうなんだろう?
と思い、風呂の中で読むように、今日文庫本を買って来た。
当然本棚には単行本が緑と赤で並んでいる。

さて映画は12月11日公開。今から見るのが怖い。
きっと全編泣きながら見ることになるだろう。しかも号泣の恐れ
今から想像がつく。どうしよう。