曼珠沙華の咲く頃
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傷つけられても、傷つけたくない。
愛されるより、愛していたい。
歌手の前に、人間でいたい。
あなたの前で、女でありたい。
私はもう二十歳。
(山口百恵/曼珠沙華/作詞:阿木曜子)

文化は巡り巡って・・・。だけどその面影も希薄になりつつある「横須賀」へ。

80'sの横須賀は基地需要の恩恵の影を未だに引きずっていた。
当時、高校生から20代前半の自分は好きになった、もしくは好きになりそうな彼女を
必ずここに連れて来て、その反応を試していた。
箱入りのお嬢ちゃんには刺激が強いかな?って。
当然、8割方嫌われる。
クリスタルな時代でしたから・・。

HONEY BEEの、なんだか美味いんだか美味くないんだかよくわからない
タコス(めちゃくちゃ辛い!)やチーズバーガーを食べて、
めちゃくちゃな英語で、空母の米兵とビリヤードして、
木の実ナナのようなママに軽くボラれて、
アルコール度数80度のアブサン一気に飲んで、
CUSTOMで黒人達の中でソウルミュージックを聞いて。

しらけた80'sのカーニバル?
そんな中でも遠い戦争の影があちらこちら見え隠れしたものです。


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2010年の現代。
そんな80年代をそのまま引きずった様な、しかしなぜかデニーズの跡地に
新規開店のラテンディスコ「HAVANA CLUB」
泣いちゃいそうになるくらい怖いセキュリティーでのIDチェックを通った後、
入店すると、時間もまだ早くホールはガラガラ。っていうか体育館か?ここは?
だけど、「ガッツンガッツン」サルサのビートと、フロア独占で踊るラティーノと日本人のラヴァーの軽やかなサルサのステップ。
テーブル席の隅には、巨漢のセニョール達の密かなミーティング。
絶対に取引してる中。何かの。
「マフィアのボスですか?」ってスペイン語で聞ける位度胸があったら、横須賀で天下を取れたのに。

「あのときに、もう少し勇気があったら〜」。って秀樹も歌っています。
いえいえそんな勇気は必要ありません。

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私に必要なのは、まずサルサのステップを取得すること。
そして今度、深夜ラティーノで埋め尽くされたこのフロアで、
胸元の広く開いた、香水の匂いのきつい
ジェニファーロペスの様なセニョリータに
「いっしょに踊りませんか?」と声をかけサルサを踊ること。

なんてラムコークにたっぷりのライムをしぼって空想に耽る。
ああ、やっぱりこの居心地の良さは何だろう。
横須賀は私を、いい感じに放っといてくれる。
それは昔も今も変わらずに。